人はいつか衰える。長谷川は元々ブロックやカバーはあまりせずに上体や足でかわしていた。全盛期はそれがまたかっこ良かった。だが全盛期はそれで通じていても、今はそれが欠点になっていた。
私は自分が生きている間に長谷川穂積と言う選手の試合が沢山観れて良かったし幸せだった。チャンスをつかんだ時のあの高速連打は一気にストレスを発散させてくれた。
私はネットに載る長谷川選手に対する一部のボクシングファンの意見に対し違和感を覚えていた。
辰吉や西岡が勝てなかったウィラポンを2度も破りバンタム級10連続防衛の破竹の勢いだった頃には大絶賛を惜しまず、逆に西岡に苦言を書き込んでいた連中が、長谷川がモンティエルに負けてゴンザレスに敗れる頃には、敵地でゴンザレスをKOしてドネアと対戦するに至るまでの西岡を絶賛。長谷川が復調した良い試合に対してまでケチをつける始末。この乗換上手が気に入らなかった。それが世の常?ファンなんてそんなもの?もちろん好調時の長谷川に戻って欲しいと言う切実な気持ちで意見を書き込んでいる人もいたが、明らかにそうじゃあ無い奴らもいた。
第7ラウンド、マルティネスの猛攻に崩れ落ちセコンドからタオルが投入されて試合が終わったその時、会場から大きな拍手が送られた。
私はその温かい拍手に胸が熱くなった。
その大きな拍手には「頑張ったね。ナイスファイト!本当にお疲れ様。沢山の感動をありがとう。」と言うファンの気持ちが込められていたからである。長谷川のファイトに元気をもらい、諦めずに頑張る姿に共感し人生を歩んで来た人達。(こう言うボクシングファンは素晴らしいな~関西のファンは特に温かいな~辰吉の熱烈なファンにも同じ温かさを感じるんだよな。)