トップ > レフェリー

チームトクボクシング教室の
レフェリー

 
私が母校のボクシング部監督をしていた頃の話である。

監督経験も3年目に入り、大会で優勝するのも当然と言う雰囲気が部の中に漂い始めていた頃で、選手達もしきりに勝ち方にこだわり始めていた。 
私も3年連続優勝を確信しながら有頂天になっていた。
こう言うときには必ず手痛いしっぺ返しを受けるのが、世の常と言うものである。
今、思い出しても赤面してしまう出来事とは・・・。
 
私は高校のボクシング部の監督だったので、只単にボクシング部を強くするためだけではなく、教育的な立場で選手を指導しなければいけなかった。
もちろん才能があっても不まじめな選手よりも、才能がなくてもまじめに練習に取り組む選手の方を生かすように指導した。
だが、この年の1.2年生達は特に素直で、技術指導をすると目を輝かせて聞き入る”ボクシング大好き少年”が多く、彼らを気に入ってた私は、受けを狙ってつい”裏技”なるものを教えて得意がっていた。
 
その中の一つに、

相手からダウンを奪った時、レフリ-の指示したコ-ナ-で待機するが、カウント8になる頃にレフリ-の真後ろにそっと近づき、ダメ-ジを追った相手選手の視界から完全に隠れておく。そして「ボックス」の声と同時にレフリ-の死角から突然飛び出し連打する。見えないところからいきなり飛び出して驚かせ、パニック状態にする。

と教えた事があった。

boking09

 
もちろんこれは、レフリ-が「ボックス」と言う前に両選手を確認すれば出来ないし、相手セコンドの抗議があれば、レフリ-も気が付く事である。
だが好奇心旺盛で練習熱心な我が選手達は、その年の大会でこの裏技を見事に実践し、そして成功させた。しかも私がレフリ-の時に!

レフリ-の”死角”を利用された私は、レフリ-の”資格”が無いと嘆く羽目となった。